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東京高等裁判所 昭和46年(行コ)62号 判決

東京都練馬区北町一丁目二四番一六号

控訴人

内田良吉

右訴訟代理人弁護士

高沢正治

区栄町二三番地

被控訴人

練馬税務署長 井上録郎

右指定代理人

石塚重夫

中川精二

池田修

大塚守男

右当事者間の所得税更正処分取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取り消す、被控訴人が控訴人に対し昭和四〇年一月二一日付でした控訴人の昭和三七年分所得税更正処分のうち確定申告額を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定を取り消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠の関係は、原判決事実指示のとおりであるから、これを引用する。

理由

当裁判所もまた、原判決と同一の理由により、控訴人の本訴請求は理由がないと判断するので、原判決理由を引用する。

なお、付言すると、控訴人は昭和三七年中に原判決別紙目録記載(三)の土地を他に売却して所得を得た事実のないことから本件処分が違法であると強調するが、そもそも、控訴人の係争年中の所得に対する所得税の課税は、控訴人の当該年中の所得税法所定の各種所得により計上された総所得金額が課税標準となり、これに対して課税されるものであつて、たとえ、本件処分にあたつて前記(三)の土地に関する所得が、右課税標準算出上の基礎とされ、かつ、控訴人主張のとおり前記(三)の土地に関する所得がなかつたにしても、他方、控訴人が自認するとおり本件処分における総所得金額中譲渡所得金額二八九万二〇〇〇円をはるかに超える前記目録記載(一)及び(二)の土地に関する所得(この課税標準四一四万九八四〇円)が存する以上、本件処分は、結局、控訴人の当該年中の実際の総所得金額以下の金額を総所得金額としたものというに帰するから、何ら取り消すべき違法の点はない。

よつて、被控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、民事訴訟法三八四条、九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 江尻美雄一 裁判官 後藤静思 裁判官 平田孝)

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